入局・研修希望の方

心臓血管手術はチーム医療が無ければ成り立ちません。チーム全体の能力を高めるには個々の構成員の能力とコミュニケーション力の向上が必要です。
当科では研修医にも積極的に治療機会を与えることにより、モチベーションを高めて患者さまにより良い医療を提供できるように考えています。 心臓血管外科医を志す方のみでなく、外科系診療科に興味がある方も是非参加をお待ちしております。

概要

湘南鎌倉総合病院心臓血管外科では成人心臓血管疾患を対象にした外科的治療を行なっています。
主な対象疾患として、虚血性心疾患、心臓弁膜症、大動脈疾患、末梢動脈疾患、透析用シャント造設などの手術治療を担当しております。
当科ではこれまでも心臓血管外科専門医を養成するための修練を重視し、様々な努力と工夫を行ってきました。 私達は最良の治療成績を示すと共に効果的、効率的な修練を行い、努力したことが報われる施設をめざしています。 現行の心臓血管外科専門医制度に即した専門医育成のための専門医修練カリキュラムを定め、運用しています。
心臓血管外科専門医2人を中心にスタッフ3人+後期研修医で年間開心術約200件、総手術数約300件を週4日の手術日で行っています。

診療科の魅力 (他院との違い)

心臓血管外科は外科学の中でも機能外科であり、失われつつある心臓機能を手術によって回復させることに主眼をおいています。
心臓血管手術をうける患者様は手術以外の治療法がない重篤な状態の方が多く、手術手技が患者様の予後を左右するという意味では、執刀医の高い知識、技術力、人間性が求められます。
少しでも多くの患者様を救命するために、高い理想を持ち、日々研鑽することが必要である責任の重い厳しい仕事ですが、 患者様が元気なって喜んでいる姿をみると日々の努力が報われる気持ちになります。

診療科の魅力 (本院における心臓血管外科の特徴)

心臓血管外科は執刀医として独り立ちするのに時間がかかり、競争も激しいと思われていますが、われわれは、「誰が執刀しても安全にできる手術術式の確立」が大事だと考えています。
手術は一人でするものではありません。 チームワークを大切にし、技量に合わせて若い外科医にも多くの執刀の機会(例:卒後5年目で年間30例の開心術執刀)を与えることによって、 人を育て、チーム全体の力が上がることを目標としています。
指導医が細心の注意を払い患者様の安全を最大限に確保して誰が執刀しても同じ結果が出せるチーム作りを目標にしています。

Wet laboの様子(冠動脈バイパス術)

年に数回ブタの心臓を用意してWet laboという形で指導医が手術手技をマンツーマンで指導します。

研修カリキュラム

目的
修練カリキュラム終了後は心臓血管外科修錬医として、患者様から信頼を得て診療を担当できる臨床的能力を備えていることを目標とします。
また、後進の医師や学生を指導できる教育能力と、一定の研究能力についても養われていることを目標とします。 したがって、後期研修医それぞれの事情によりカリキュラム内容に変更はあるにしても、カリキュラムを途中で放棄することなく、最後まで完了するための強い熱意と意志が必要です。
修練カリキュラム終了時には、十分な臨床的経験と業績を積んでいることがこのカリキュラム編成の前提となっています。
内容

後期臨床研修プログラムの研修期間は3年間を基本とします。

心臓血管外科専門医コース(心臓血管外科専門医をめざす人)

  1. 心臓血管外科研修 1年半(18ヶ月)
  2. 一般・消化器外科、呼吸器外科研修 1年(12ヶ月)
  3. 麻酔科・集中治療部研修 半年(6ヶ月)

心臓血管外科・一般・消化器外科混合コース

  1. 心臓血管外科研修 1年(12ヶ月)
  2. 一般・消化器外科、呼吸器外科研修 1年半(18ヶ月)
  3. 麻酔科・集中治療部研修 半年(6ヶ月)

一般・消化器外科(呼吸器外科)専門医コース

  1. 一般・消化器外科、呼吸器外科研修 2年(24ヶ月)
  2. 心臓血管外科研修 半年(6ヶ月)
  3. 麻酔科・集中治療部研修 半年(6ヶ月)

各研修期間は分割して実施することもできます。(ただし、分割する場合は3ヶ月以上の単位とする)

研修の感想

湘南心臓血管外科グループでの修練を終えて


2006年卒 嶋田 直洋

卒後6年目の2012年9月から8年目の2014年5月まで修練をさせていただきました。
当グループの修練の特徴はチーム医療とチャンスが多いことです。

手術では執刀医以外にも各々役割が与えられ、全員で手術を完成させる姿勢が求められます。たとえば第二助手であろうと、手術の流れを細部まで理解し、執刀医をサポートしないと手術への参加権利が与えられません。第二助手を全うできるようになると第一助手、執刀医まではすぐに到達できるシステムになっています。
手術以外では毎日朝、夕と全員で病棟回診を行いますが、若手だからといって上司の指示を待つことなく自分の考えが求められます。ここでもチーム全員参加の医療が求められます。

当グループでは誰が執刀しても安全に手術を完遂できるチームを育てるという部長の方針で、部長の指導のもと安全を確保しながら比較的若手のうちから執刀医として手術を行う機会が与えられます。医師としての年数に関係なく、技術が伴い安全に手術ができると判断されればどんどんチャンスが回ってきます。私自身、修練前は開胸、カニュレーション、末梢血管手術の執刀は多く経験がありましたが、開心術の執刀は数例程度でした。修練開始後少しずつチャンスを頂き、それをものにすることにより徐々に執刀数が増えてきました。1年9か月で弁置換手術、大動脈手術(急性大動脈解離や真性瘤の弓部置換)、心拍動下冠動脈バイパス術など50例の開心術の執刀機会をいただきました。

部長の方針から学術活動も積極的に行っており、指導体制も充実しています。今までほとんど学術活動していなかった私でも2編の論文と2回の国際学会をはじめとして数回の学会発表を行うことができました。国際学会に参加したときにインドネシアの心臓外科医との出会いがあり、2013年7月から以前から希望していたインドネシアでさらなる臨床修練を行うことになりました。湘南心臓血管外科グループで学んだことを生かしてがんばろうと思っています。

私もそうでしたが、若手心臓外科医はいかにしてチャンスを得るかに腐心していると思います。私は幸いにも上記のような研修を送り、元来の希望であったアジアでの研修を行いますが、そこまでの道は平坦ではなく、これからも困難が伴うと思います。厳しいような環境に自ら選択して身を置かなければ人間は成長できないと考えています。困難に立ち向かわないと得られないものがある、このことに気づけたのが一番の収穫でした。

当グループでの研修は手術が多いだけでなく一つ一つ求められるものが高いため、他の施設と比較しても決して楽ではないと思います。苦労してでも自分の腕を向上させたい、そう思ったら見学してみてください。

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